FXで勝てないのはメンタルのせい?──僕がルールを守れなかった本当の理由

ルールを守れずに負けるたび、
「またか」と自己嫌悪に陥った。
自分はメンタルが弱いんじゃないか。
感情をコントロールできないから勝てないんじゃないか。
そんな思いに取り憑かれていた。

実際、FX界隈には「勝てない理由はメンタルだ」という言葉があふれている。
自分でも、負けた原因は感情的なエントリーや損切りの遅れにあると思っていた。
だから、メンタルを鍛えれば勝てるようになると信じて、色々と取り組み始めた。

※この話は、FXで勝てずに悩み続けた僕の体験記シリーズの一部です。
まだの方は、第1話(FXを始めた理由)から読み進めると、より深く理解できます。

目次

「勝てないのはメンタルのせい」…本当にそう?

瞑想やルーティンなど、あらゆる方法を試した

トレード前のルーティンとして取り入れた瞑想の様子(落ち着いた呼吸と集中)

勝てるようになるには、まず感情をコントロールできるようになる必要がある。
そう思って、瞑想や朝のルーティン、SNS断ち、読書、ポジティブな自己暗示まで、
とにかく試せることは全部試した。

瞑想は意外と効果があった。
チャートを開く前に数分間、静かに呼吸に意識を向けるだけで、
不思議と焦りが薄れたような感覚があった。
朝の行動も固定し、同じ時間に起きて、同じ順番で準備してからチャートに向かうようにした。
スマホの通知もすべてオフにして、無駄な情報を遮断した。

やれることは全部やった。
最初は多少の手応えも感じていた。

連敗がきっかけで、一気に崩れる

でも、少し勝てた後に連敗がくると、メンタルはあっけなく崩れた。
特に何連勝かして利益が出ていたところから、3連敗くらいしたとき。
頭の中は一気に焦りで支配される。

「このままだとせっかくの利益が消えてしまう」

「取り返さないと」

気づけば、ルール外のところでエントリーしていた。

感情に流されてルールを破ってしまったトレードの混乱状態を象徴する抽象的な光の渦


負けたくない気持ちが強すぎて、冷静な判断ができなくなる。
自分でも「またやってしまった」とわかっているのに止められない。

この感覚は何度も経験していた。
だからこそ、トレードルールとは別に、自分用の“行動ルール”も作っていた。

「連勝後に2連敗したら即終了」

「その日のトレードは3回まで」

など、自分なりに崩れやすいパターンを分析して対策していた。

でも、それすら守れない日がある。
そうなると、もう完全に自信を失う。
「努力しても変われない自分」がただただ悔しかった。

FXで勝てない理由は、別にあった

FXのルールを守れない本当の理由は、“手法への不信感”

ずっと「ルールを守れないのはメンタルが弱いから」だと思っていた。
でもあるとき、違和感が生まれた。

メンタル強化をしていた時期でも、エントリーの瞬間にふと頭によぎる。

「この形、本当にエントリー条件に当てはまっているのか?」

「前に勝った形と似ているけど、今回は微妙に違うかも…」

そう、そもそも自分の中に“迷い”があった。

FXの相場では、完全に同じ状況なんて来ない。
過去に勝てたパターンに見えても、ボラティリティや勢い、形のわずかなズレ…
どこかが違う。

似てるからこそ、「これでいいのか?」という判断が曖昧になる。
そして迷いながらポジションを取ると、その時点で気持ちは不安定になる。

エントリー後すぐに心が揺れるのは、メンタルの弱さではなく、
“自分の手法に対して自信がない”ことが原因だったのではないか──。

手法に確信が持てない限り、メンタルは崩れる

どんなにルールを決めていても、
「この条件で本当に勝てるのか?」という疑いが残っていると、
ルールを守ることが苦しくなる。

特に連敗が続いた時、

「これは本当に勝てる手法なのか?」

と不安が膨らむ。

そしてその不安に耐えきれず、別の手法に手を出したり、
エントリーの条件を変えてしまったり、
結果的に“その場の感覚”に頼るようになる。

これは完全にメンタルが崩れている状態に見えるけれど、
そもそもそのトレードルールに対する確信がなかったことが原因だ。

つまり、メンタルが弱かったんじゃない。
“信じきれていなかっただけ”だった。

勝率30%の現実に、自信は崩れた

似た形で勝ったり負けたりするから、結局は裁量勝負になる

自分が使っていた手法は、いわゆる「マルチタイムフレーム分析」だった。
上位足で環境認識をして、移動平均線やボリンジャーバンドで反発を確認。
その後、下位足でのもみ合い抜けを見てエントリーするという流れ。

理論上は筋が通っているように見える。
でも、実際のチャートでは“まったく同じ形”は2度と来ない。

「これは前と同じパターンだ」と思っても、
ローソク足の動きや時間帯、相場の勢いが微妙に違っていて、
判断に迷うことが多かった。

そうなると、結局は裁量で決めるしかなくなる。
そして、その裁量の幅があるせいで、エントリーするかどうかを毎回悩む。

さらに厄介なのは、同じような形で勝てるときもあれば負けるときもあることだ。
それが自信をますます奪っていった。

記録をとって見えてきた、絶望的な勝率

※この「トレード記録」を始めたきっかけは、第3話(記録しても勝てない)で詳しく書いています。

当時、自分はトレード記録をしっかりとっていた。
エントリー日時、通貨ペア、根拠、チャート画像、結果…
ひとつひとつを丁寧に記録して、自分なりに「検証」のつもりで振り返っていた。

でも、数字を見て愕然とした。
勝率は30〜40%台。しかもトータル収支はマイナス。

FXのトレード記録と振り返りをするために用意したノートとパソコン(検証への第一歩)

エントリーのルールに沿っていても、
勝てるときと負けるときのバラツキが大きく、
安定性がまるでなかった。

記録をつければつけるほど、
「これでは使えないのでは?」という疑念が強まっていった。

この時、はっきりと感じた。
人は、勝率が低い手法を信じて続けることはできない。

とくに、安定して勝てた経験がない人間にとって、
連敗しているのに同じ手法を使い続けるのは不可能だ。
そこに「これは勝てる」という確信がなければ、
感情に飲み込まれてしまうのは当然だった。

メンタルを保つ鍵は“手法への確信”だった

連敗してもブレないためには、「根拠」が必要だった

負けが続いたとき、気持ちが崩れなかった日は一度もなかった。
2連敗、3連敗……そのたびに頭の中には「本当にこの手法でいいのか?」という疑念がよぎる。

それでも、「このルールなら、長期的には勝てる」と確信できていれば、
迷わずルールを守り続けられるはずだった。

少なくとも、トレードに迷いは生まれないし、感情のブレも最小限に抑えられる。

そう気づいたとき、ようやく見えてきた。
自分に足りなかったのは“メンタル”ではない。
「このルールで勝てる」と自分が心から納得できるだけの根拠だった。

その根拠があれば、連敗しても「このルールがダメだったわけじゃない」と思える。
その“信じられる感覚”こそが、本当の意味での「心の安定」を生む。

そして、その信じられる感覚を育てるために必要だったのが──「検証」だった。

「検証」こそが、手法への信頼を育てる道だった

FXの手法を検証するため、グラフやデータ分析を行うパソコン画面と前向きな作業風景

ここで初めて、

「自分がやるべきはメンタルを整えることではなく、
手法に根拠を持たせることだ」

と気づいた。

ただチャートを眺めて「なんとなく勝てそう」と感じた手法では、
いざというときに信用できない。

記録を取り続けても、その数字に基づいて改善を加えていなければ、
ただの反省日記で終わってしまう。

「この形で何回中何回勝てたのか」
「どういう場面で負けているのか」
「その結果、ルールはどう修正すべきなのか」

そうした検証を重ねていくことで、
“確信を持てるルール”に育てていく必要があった。

メンタルを整えるだけでは、崩れるたびに自分を責めるだけになってしまう。
でも、自分の手法に根拠と数字があれば、
負けたとしても「これは統計上の一部にすぎない」と割り切ることができる。

それは自分にとって、大きな気づきだった。

そして検証へ──だが、そこでも迷いが始まる

感情でルールを破るたび、自分が嫌になった。
何度やっても変われなくて、
「やっぱり自分には向いてないのかもしれない」と思ったこともある。

でも今ならわかる。
あのとき崩れていたのは、メンタルじゃなかった。
“自信のないルール”を使っていたからだった。

どれだけ感情を整えても、
どこかで「本当にこれでいいのか?」と疑っていた。
そんな状態では、負けが続くだけで心が揺れるのも当然だった。

「このルールなら大丈夫」
そう思える確信がなければ、
どんな努力も根っこから崩れてしまう。

だから僕は、次に「検証」を始めた。
過去チャートを振り返り、手法を洗い直して、
根拠を積み重ねようとした。

──だが、そこにもまた新たな壁があった。

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